飛蚊症[ひぶんしよう]
硝子体に濁りがあるために、目の前に黒点やちり、時には輪のようなものが動いて見えます。目の前に蚊が飛んでいるように見えるので飛蚊症といいます。
老化による硝子体の変性がおもな原因
硝子体は、細かい無数の無色透明な線維が集まったゼリー状のものからできていますが、年をとるとこの透明な線維の中には、濁ってくるものがあります。これはちょうど、髪の毛が白髪になるのと同じで老化現象の一種です(生理的飛蚊症[せいりてきひぶんしよう])。若くても白髪になる人があるように、若い人にも起こります(図17―10)。
線維が濁ると、黒点やちりのようなものが眼底に影を落とすようになります。この影が動かないときにはあまり感じませんが、動くとよく感じます。硝子体は、どろっとした物質で、目を動かすたびにユラユラと揺れ動きますから、それと一緒に影も揺れ動きます。それで目を動かすたびに黒点が飛ぶように見えるのです。

後部硝子体剥離
子どものころには硝子体は眼球の中にいっぱい詰まっていて硝子体と眼底(網膜)との間にはすき間がなかったのに、年をとるにつれて硝子体が変性(液化)して、中の水分が後部に抜けて量が少なくなり、硝子体が眼底から浮き上がってしまうことがあります(後部硝子体剥離[こうぶしようしたいはくり])(図17―11)。
この場合には、眼底の視神経の周りの丸い輪の形をした輪郭も眼底の前に浮き上がり、輪や輪が変形して線や点などいろいろな形の影を網膜に落とすようになります。
硝子体剥離が起こりはじめのころは、硝子体の膜にしわがたくさんできるので濁りがたくさん見えますが、3週間ほどするとしわが伸びてきて、数や大きさが少なくなります。

視力障害がない飛蚊症[ひぶんしよう]は慣れること
飛蚊症は、一度出るとたいていは生涯治りません。これは病気ではありませんから治療法はありませんし、また治療をする必要もありません。視力障害のない飛蚊症は気にしないようにして放置すればよいのです。60歳ごろになると10人に1人は飛蚊症があるといわれます。
しかし、黒点の数が増えたり見えにくくなったときには、出血や網膜剥離[もうまくはくり]などが起こっている可能性がありますから、すぐに診察を受ける必要があります。
光視症
後部硝子体剥離[こうぶしようしたいはくり]が起こるときに眼底と硝子体との間に癒着があると、硝子体が眼底の網膜を引っ張ります。網膜が引っ張られて刺激を受けると光が走るように見え、これを光視症[こうししよう]と呼びます。そしてこの硝子体と網膜との癒着がとれてしまうと光が走らなくなります。閃光[せんこう]は目の外側(耳のほう)で走ることが多く、これが消失するまでには6カ月ほどかかることが多いようです。
(菅 謙治)
関連する診療科目は以下の通りです。
病院を探すときは以下の科目を選択してください。
|

